テクニカルダイビングはその名前の通り実行するためにより高い技術や経験が必要な内容ですが、一般的なレジャーのひとつでもあります。40m以上の深さに潜って行なうなどの定義があり、海の中にある洞窟や沈没船を探検するなどが主な目的になります。
簡単なレジャーダイビングの場合は深さが40mまでで、減圧不要限界という限られた時間の中で行ないます。しかし深さが40m以上になると、その時間を超える可能性が上がります。
ダイビングを行なった場合は、水によって圧力がかけられた状態の空気が血液の中を巡ることになります。地上よりもより多くの空気が身体の中にある状態です。そしてそのまま急に水面近くまで上って圧力が低下すると、血液中の空気が急に気化してしまう減圧症を引き起こします。そうならないためには身体にかかる水圧を徐々に減らしながら、体内の空気を少しずつ抜くようにして上昇する必要があります。それには水中で呼吸を続けるしかないため、完了するまでに時間がかかります。
その作業を減圧と呼び、テクニカルダイビングには欠かせない技術です。もし減圧が上手くいかないと身体の中に気化した空気が生まれることになるため、関節の痛みや酸欠といった症状に繋がりかねません。正しい減圧を行なうためには十分な知識が必要なので、他のレジャーダイビングとは異なる分類がされるわけです。
一般的なダイビングに使用される空気は圧縮されていますが、地上のものと大きな差はありません。その中で最も割合の高いのは窒素です。そしてテクニカルダイビングで40m以上の深さに潜った場合、より多くの窒素が血液の中に溶けることになります。そうすると窒素酔いという、まともな判断や行動ができなくなってしまう症状になる可能性があります。そのため通常の空気とは異なる配分をした、混合ガスを使用するのもテクニカルダイビングの特徴です。
混合ガスで代表的なものは空気よりも酸素の割合を高くしたもので、相対的に窒素の量を減らします。ストレートに血液に溶ける窒素の量が減るため、窒素酔いの防止に繋がります。また窒素の代わりにヘリウムを用いたりもします。
酸素をベースにしながら窒素あるいはヘリウムを組み合わせるのが混合ガスで、3種類とも使用する場合もあります。それぞれの気体の特徴が異なるため、どこに潜るかに合わせて配分を変える必要が出てきます。そのためテクニカルダイビングで求められる知識や技術は、潜っている間だけのものではないと言えるでしょう。